

KOBE Dream Echoes
代表 Momo's Friend
1964年大阪生まれ、奈良育ち。大学卒業後、医療機器メーカーに長年勤務。2017年より視力を含む複数の病気を患い治療に専念する。数度の手術を受療するも2023年末に視覚障がい者として認定される。
視覚に障がいを負うと、趣味や仕事を失い、社会とのつながりが途絶えてしまうことも少なくありません。私自身、その現実を痛感し、一人でも多くの視覚障がい者と共に「音楽を通じてもう一度社会とつながりたい」との想いから、視覚障がい者による音楽サークル 「KOBE Dream Echoes」 を設立しました。
ですから、皆さんも一緒に音楽やりませんか?年齢やスキルは関係ありません。私も全くの未経験で、ドレミの基本も良くわかっていなく、ピアノを前にして「ド」はどこだったかな?と思っていました。ですから何の心配もないと思います。お家でじっとしてないで、音楽を楽しみに出かけてみませんか?練習などは予約状況にもよりますが、主に神戸市内の公的な施設を利用したいと思います。我々と一緒に新しいコミュニティーを作っていきませんか? ぜひ、お待ちしております。
※Momo's Friend:楽曲制作、活動時の名前

ストーリー
東京2020パラリンピックをはじめとした障がい者スポーツの注目と共に、社会における障がい者の活躍の場が広がることが期待されています。しかしながら、現実には視覚障がい者が、主体的に社会に関わる機会は依然として限られており、特に趣味や仕事を失ったことをきっかけに、社会とのつながりを絶たれ孤立してしまうケースも少なくありません。「見えない・見えにくい」という障がいの特性から、移動や情報取得に困難を抱え、自らの表現手段を持つことすら難しいと感じる方も多くおられます。
その様な中で、私たちが目指したのが「音楽」という手段でした。音楽は、視覚に頼らずとも感覚で捉えられ、聴覚を通じて豊かな表現が可能な芸術です。また、音楽を奏でることは自己表現であると同時に、他者と共鳴し合い、心をつなぐ手段でもあります。さらに近年では、AI技術や支援機器のテクノロジーの発展によって、視覚障がい者が作詞・作曲・編曲を行うための環境も整いつつあり、これまで難しかった楽曲制作にも挑戦できる時代が到来しています。
こうした背景を受け、2025年4月に神戸市にて、視覚障がい者だけで構成される音楽サークル「KOBE Dream Echoes」を設立しました。本サークルの設立目的は、音楽を通じて視覚障がい者の社会参加と自己表現を促し、その活動を通じて地域社会との新しい繋がりを育む事にあります。単なるレクレーションではなく、視覚障がい者が自らの経験や想いを音に乗せ、社会に発信していくことを大切にしています。
本サークルで演奏・歌唱する楽曲は練習以外、一般的な商業曲ではなく、視覚障がい者が自らの手で創りあげた楽曲です。また、SNS等を通じて神戸市民の皆さまから、楽曲の作詞案やAIによる、楽曲製作のアイデアを広く募集し演奏・歌唱をサークルメンバーが担う「共創型音楽活動」にも力を入れる予定です。こうした取り組みにより、市民が「支援する側」ではなく「共に創る仲間」として関わる機会を提供し、障がいの有無を超えた心の交流や理解の促進を図っていきます。共に音を創り、奏でる体験は社会的距離を縮め、まさに共生社会の礎になるものです。
視覚障がい者によるアマチュアバンドや音楽サークルは全国的に見ても数少なく、特に健常者と共に活動する団体やソロ演奏の事例はメディアなどで散見されるものの、関西圏、とりわけ兵庫県内において、視覚障がい者のみで構成される正式な団体は数少ない事と思われます。私たちの団体は、この未開拓な分野に挑戦し、発信できる場を築くことを目指しています。この取り組みは、単なる音楽活動にとどまらず、視覚障がい者のみならず、あらゆる障がいを持つ人々に夢と希望を与え、社会進出の機会を広げる事に寄与するものです。
また、神戸市はiPS細胞を活用した最先端の眼科治療が進む医療発展都市であり、科学技術において全国的に高い評価を得ていますが、一方で福祉サービスとの連携や文化的包摂の面では、依然として課題が残されています。近年、医療の発展に比して福祉分野の発展が相対的に遅れを見せており、医療と福祉の間に乖離が生じつつあるという現実があります。
本活動は「医療と福祉の共生」、そして「障がい者と健常者の共生」という理念を、音楽活動を通じて地域に具現化することを目標としています。私たちはこのサークル活動を通じて、音楽という文化的表現を介し、視覚障がい者の生きがい・役割・誇りを引き出し、同時に地域社会の理解と包容力を育む機会としたいと考えています。私たちの活動が、障がい者の可能性を社会に示し、共生社会の実現を促す先駆的なモデルとなることを強く確信しています。本活動が実現した場合、障がい者達が、その抱える障がいの最も苦手な分野を克服した事例は、その功績として社会福祉事業の発展に寄与するものと考えています。
視覚障がいを通じて「創り・伝え・つながる」こと、その挑戦と感動が、地域に希望を届け、共に生きる社会の実現へとつながることを信じて、「KOBE Dream Echoes」は活動を進めてまいります。
